• 2020年8月30日

褥瘡・床ずれの対応を学ぼう②

褥瘡は虚血によって生じてしまいます。
褥瘡のケアでは「除圧すること」が重要です。
除圧する環境を整えるために多職種チームでアイデアを出し合うこと。
今回はもう一歩踏み込んだ具体的な対応方法を学んでいきます。
除圧をするためにできること。
褥瘡ケアを実践していくために具体的な除圧の方法について学んでいきます。

除圧する環境を整える

褥瘡のケアがうまくいくかは「除圧」が上手にできるかに懸かっています。
具体的には

  1. 体位変換
  2. マットレスベッド導入
  3. ポジショニング

が重要となってきます。
この3点について詳しくみていきます。

頻回な体位変換が理想です。
でも介護する側の体力も有限です。
無理のない範囲で体位変換する頻度をみつけていきましょう。

1.体位変換
「ベッド上では2時間以内の体位変換が推奨される」

褥瘡のケアでは、2時間での体位変換が推奨されています。
(研究によっては2時間と3時間で差がなかったという報告もあります。)

いずれにしても、2時間~3時間おきに体位変換する
これはなかなか難しいことかもしれません。

介護する側の体力や介護力も有限です。

無理は続きませんし、介護する側が力尽きてしまっては元も子もありません。

介護する側の体力や介護力を考慮して
できるだけ短時間の間隔での体位変換に近づけることを目指します。

マットレスは除圧にとても有効です!
種類や目的に合ったマットレスを選択することが大切です。

2.マットレスベッド導入
マットレスの選択には注意が必要!
専門職にチェックしてもらう

耐圧分散マットレスは標準マットレスと比べると有意に褥瘡の発生率が低いことがわかっています。

マットレスベッドは耐圧分散のもの、低反発のもの、さまざまなタイプのものがあります。
マットレスの選択にはいくつか注意事項があるので覚えておきましょう。

・痩せが顕著な方や仙骨部の褥瘡(お尻の褥瘡)の場合、ベッドの辺縁が低反発になっているタイプ(座位がとりやすいタイプでリハビリが目的主体のマットレス)ではエアマットの除圧機能が弱いため仙骨部の褥瘡が悪化しやすいことに注意が必要です。

・マットレスと身体の間に敷布団などを引いてしまってはマットレスの効果が相殺されてしまいます。

・体重が重い場合、エアマットのエアの入りが少なくて沈み込みで金属部に当たってしまうことがあるので注意が必要です。

以上のように

マットレス導入したはいいものの
目的に合っていない、間違った使用方法、に注意が必要なため専門職種にチェックしてもらうことが大切です。

3.ポジショニング
「30°ルール」、「ファーラー位」、「90°ルール」
を覚えておきましょう

「30°ルール」

30°側臥位とする。
背臥位では肩甲骨や仙骨部の圧が強くなってしまい、 側臥位では肩や大転子の圧が強くなってしまうため、 30°程度の側臥位が推奨されている。

「ファーラー位」

30°頭部、下肢挙上位 (ファウラー位)  
身体のずり落ちや、仙骨部の圧を最小限にするため、 頭部挙上を30°以下に制限する。
同時に、 頭部を挙上する前に大腿を30°程度挙上する。
*やせ型の者は個別に検討を要する。

「90°ルール」 

座位姿勢の際、耐圧分散と、ずれ予防のため、股・膝・足関節のいずれも 90°程度となるようクッションなどで調整する。
同時に患者に合わせて、座位時間の制限、アライメントの調整を行う。

褥瘡の対応② まとめ

繰り返しになりますが、褥瘡のケアはなによりも「除圧」です。

褥瘡の治療がうまくいくかは除圧がきちんとできるかどうかにかかっています。

今回は「除圧」するための具体的な方法を学びました。
実践していくためには介護する側の知識と知恵が必要になります。
多職種チームで知恵を出しあっていくうえでの参考になれば幸いです。

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