• 2020年9月8日

褥瘡・床ずれの対応を学ぼう③

褥瘡・床ずれの対応を学ぼうシリーズ最終章です。
褥瘡のケアのスタートは、褥瘡ができてしまった原因を把握することから始まると学びました。
そして「除圧すること」が褥瘡ケアでとても重要だということと、除圧を実践するための具体的なケアについて学びました。
最終章は、除圧することに加えて行うべき重要なことは?についてです。
今回のテーマは、栄養摂取の重要性についてです。
最後に褥瘡のケアについてまとめていますので参考にしてくださいませ。

「寝返りをうつ」
自然に虚血による痛みを回避できている

これができなくなると褥瘡ができやすくなる

瘦せていることは褥瘡の大きなリスク!
「栄養摂取」が重要

褥瘡ができてしまう原因は、皮膚の「虚血」でした。

虚血とは、血流障害。
通常、長時間同じ姿勢でいると、血流障害が起きて痛みを伴うので「寝返り」をうちます。
夜中に無意識に寝返りをうちますよね。
自然に痛みを回避する行動ができているのです。

裏を返せば、褥瘡ができてしまったとき、虚血による痛みを回避できていないということと言えます。
それはつまり、「動けなくなってきていること」を意味しています。
同時に「痩せてきていること」も意味しているのです。

「食べること」それ自体が褥瘡の予防、治療になります。
「痩せる」は褥瘡の大きなリスクなのです。

栄養状態の評価
体重は減っていないかチェック

体重が減って痩せてくると骨が突出します。
そうすると血流障害、虚血が起こり褥瘡が生じやすくなります。

それでは、何を目安に栄養状態の評価を行えばいいのでしょうか。

それは
・血液検査の血清アルブミン値
・体重の増減
・食事摂取量

です。
血液検査でアルブミンをみることと、体重減少率を評価、食事摂取量をみることが大切です。
具体的には
アルブミン3.5g/dL以下で褥瘡発生のリスクが増加する。
食事摂取率50%以下で褥瘡発生リスクが上昇する。

ことがわかっています。

簡単に言えば、「栄養不足になると褥瘡できやすい」ということです。

肉・魚・卵・大豆・乳製品
たんぱく質を積極的にとりましょう!

たんぱく質を積極的にとろう!!

血清アルブミン値が低いと褥瘡になりやすいということがわかりました。
でも血清アルブミンって難しそう、、
そう思われた方もいらっしゃると思います。

アルブミンとはたんぱく質の一種です。
血清アルブミン値が低いとはつまり
「身体にたんぱく質が足りていないよ」を意味しています。

たんぱく質の重要性についてはこれまでのブログ記事を参考にしてみてください。

たんぱく質は皮膚が作られるときの材料です。
材料が不足してしまっては十分な皮膚が作られませんよね。
木材(材料)が不足していたら家が建てられないのと同じです。
立派な家を建てるためにも(褥瘡の皮膚を作るためにも)たんぱく質を十分に摂取する必要があるのです。

褥瘡・床ずれの対応 まとめ

シリーズ3回で褥瘡をみつけたときの対応を学んできました。

①褥瘡をみつけたらまずどうしたらいいのでしょうか?

まずは「褥瘡ができてしまった原因」を把握しましょう!
褥瘡ができてしまった環境が必ずあります。
原因となった環境を見直してみると行うべきことがみえてきます。
環境を整えて改善することが治療の第一歩でした。

②褥瘡のケアのもっとも重要なことは何でしょうか?

「除圧」することがもっとも重要でした。
褥瘡は皮膚が圧迫され虚血することによって生じます。
ケアがうまくいくかは除圧ができるかどうかにかかっています。
実践的な除圧の方法についても学びました。

③栄養状態を改善するために何を心がければいいのでしょうか?

たんぱく質を積極的にとりましょう!
たんぱく質が不足することが褥瘡の大きなリスクになることを学びました。
栄養状態を改善して痩せることを防ぐことも重要です。


シリーズで学んだことを今日の褥瘡のケアから活用してほしいです。
褥瘡の対応のはじめの一歩を学ぶことで、自信をもって対応していただければ幸いです。

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