• 2020年11月8日

パーキンソン病患者さん 生活と暮らしのコツを考える①

パーキンソン病の患者さんは薬での治療が必要です。
かかりつけ医とよく相談して薬剤調整していくのが治療の柱になります。
日常生活をより良くしていくために、薬剤調整に加えて、生活環境を整えることも大切です。
「もうすこし楽に生活できる」ように生活に工夫をする。
本日のテーマは、パーキンソン病の患者さんの生活の工夫の具体的な実践法についてです。
生活に取り入れたいコツをお伝えしていきます。

朝の起き上がり時は
薬が切れていてこわばっていることがあります。

パーキンソン病患者さんの生活
朝の生活 ~お目覚め 起き上がり編~


パーキンソン病の患者さんは、朝目が覚めたときには、特に体がこわばって動きにくいことがあります。

焦って起き上がろうとせず、まずは指先などのストレッチをしてみましょう。
布団の中でストレッチが起き上がりやすくするコツです。

◎掛け布団も軽い素材にする、シーツやパジャマもナイロン素材の滑りやすい素材する。
掛け布団の重さも起き上がりにくくする原因になります。
掛け布団を横にはいでから起き上がるようにしましょう。

◎電動ベッドを導入する。
介護保険でベッドレンタルもできるので公的支援制度を活用しましょう。

◎マットレスを固めにする。
柔らかいマットレスは腰が沈んでしまい起き上がりにくいです。
固めがおススメです。
ただ、寝ている時間が長い場合は褥瘡(床ずれ)のリスクもありますので、よく相談しましょう。

立ってバランスを崩しやすいです。
バランスをとることが大切です。

~ 朝の洗面台での工夫編 ~


パーキンソン病の患者さんの場合、特に立ってバランスをとることが難しいことがあります。

◎座って肘をついて顔を洗う。
洗面台の前に椅子を置いて座って肘をついて洗うと体が安定します。

◎タオル、市販の洗顔シートを使う。
水で洗うのが大変な場合は、お湯で濡らしたタオルで顔を拭く、洗顔シートを使うのもいいでしょう。
拭くだけ、つけるだけ、などの手軽なアイテムを使ってみましょう。

栄養摂取は重要。
食べやすくする工夫を紹介します。

~ ごはんを食べるとき編 ~


パーキンソン病の患者さんの場合、飲み込む力が弱っていることがあります。
また、栄養摂取量も不足しがちです。

◎食べやすい形にする。
お茶碗のごはんではなく、一口サイズのおにぎりなど、手で食べられるものにすると食べやすくなります。

◎お箸に補助具をつける、材質を木製の滑りにくいものにする。
滑りやすい素材よりも滑りにくい素材のものが使いやすいです。

◎とろみがついた食品をメニューに取り入れる。
カレーやシチューはとろみがついていて食べやすいです。
水分の多い食事はとろみ剤を加えてあげるとのどごしよく飲みこみやすくなります。
反対に、パンや海苔、お餅などの飲みこみづらい食品は控える方がいいです。

スリッパやマットなどの敷物は転倒の原因になります。

~ トイレ編 ~


トイレでスムーズに動作をするのにもコツがあります。
バランスがとりにくいため体を安定させることが大切です。

◎(男性)立って排尿するときは、目線の目印をつけておく。
男性が立って排尿するときはバランスを崩しやすいため、目線の目印を付けておきます。
目印を見ながら行うとバランスを取りやすくなります。
あるいは
◎男性も座って排尿しましょう。

◎スリッパやマットは取り除きましょう。
スリッパやマットは不要です。
特に、滑ったり、引っかかって転倒の危険性が高いです。
転倒の原因になるものは、なるべく取り除きましょう。

◎早めに、(定期的に)トイレに行くようにする。
尿意を感じてから焦ってトイレに行こうとすると、急いでしまうため転倒の危険性があります。
時間やタイミングを決めて早めにトイレに行く習慣をもつといいです。

◎ポータブルトイレ、手すりを設置する。
トイレに行くまでが大変な場合は、ポータブルトイレを置くことをおススメします。
トイレの入り口と中に手すりがあると安全に動作ができます。


◎動けなくなった、立ち上がれなくなったときのためにブザーを設置しておく。
トイレで動けなくなったときに家族に知らせるためのブザーを取り付けておくといいでしょう。


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