- 2020年8月10日
「頻尿」おしっこのトラブル
頻尿は加齢とともに増加する症状のひとつです。
オシッコのトラブルは相談できないことも多い症状でもあります。
昼間や日中に頻尿で困ってしまう、トイレの場所を確認しないといられない。
という訴えがいる方から、夜間頻尿で夜中にオシッコで何回も起きてしまう。
昼間も夜間も関係なく「とにかくオシッコが近くて困ってる」という訴えも多いです。
頻尿に対してどのように対応していけばいいのでしょうか。
日常生活で取り入れられることをメインにお話していきます。
今回のテーマは「頻尿」です。
「頻尿」は転倒や骨折のリスクを上げる
北欧の論文では、夜間の頻尿は転倒や骨折のリスクを高めるという研究結果があります。
転倒や骨折までいかなくても夜間の睡眠を妨げることによってQOL(生活の質)も低下します。
頻尿=オシッコが近いの危険サイン!
頻尿で困っている場合、まずはそれが危険な病気のサインなのか、それとも大丈夫なものなのかの判別が重要になります。
大丈夫なサインの場合は、生活訓練(日常生活での行動を変えていくこと)で改善が望めます。
ところが危険なサインがある場合は、病院受診して精密検査をする必要があります。
はじめに以下のようなサインがみられるかチェックです。
- 血尿(尿がピンク~赤い)
- 排尿時の痛み
- 膀胱、尿道、会陰部の疼痛・違和感
- 下腹部が膨らんでいる
- 子宮やお腹の手術をしたことがある
- 腎臓が悪いといわれている
などの症状がある場合は、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
「腹圧性尿失禁」と「過活動膀胱」
頻尿は「オシッコを溜めておく」という機能に問題があります。
オシッコを溜めておくとは、言うなればブレーキの役割です。
ブレーキが故障してしまいオシッコを溜めておくことができずに漏れてしまうのです。
「腹圧性尿失禁」は、咳やくしゃみで尿漏れをきたすものです。
腹圧がかかるような状況(くしゃみ、歩行、スポーツなど)でオシッコの出口から漏れ出てしまうのが特徴です。
職業では看護介護職のおむつ替え、車いす移乗。
保育や体育の授業で子供と一緒に走る。
重量物の運搬などでみられます。
「過活動膀胱」は尿意切迫感といって「急に起こる我慢の効かない尿意」を伴う頻尿です。
また、ドアノブ尿失禁という特徴があります。
玄関やトイレのドアを開けるとき、あともう少しでオシッコできるという環境になると抑制が外れて間に合わないといった特徴がみられます。
頻尿に対してできる生活改善方法
もっとも推奨されるものは「減量」!
頻尿の治療薬は、ここ10年で選択肢が増えたこともあり、正しく使用すれば有効です。
しかし薬を使用しなくても生活の改善も有効である。
まずもっとも重要なことは「減量」です。
オシッコのトラブルに肥満はリスク因子となります。
女性の場合は、「骨盤底筋の訓練」もとても有効です。
尿道・膣・肛門をを5-10秒の収縮を1日トータル50セットを目安に行うことが推奨されています。
オシッコの出口のブレーキの強化です。
ほかに「膀胱訓練」という方法もあります。
これはオシッコに行きたくなった場合になるべく我慢する方法です。
はじめは5分我慢する。
徐々に10分、15分と延長していく訓練方法です。
頻尿の対策まとめ
- 減量
- 禁煙
- 水分摂取をおさえる
- コーヒー、アルコール、炭酸飲料を控える
- 骨盤底筋の訓練(オシッコの出口の開け締めの運動)
- 便秘の改善
- 長時間の座位を避ける
夜間頻尿のみで困っている場合の対策
頻尿で困っている場合に、夜間のみ困っていて日中はあまり困っていないよという方がいます。
この場合は、「夜間の多尿」か「睡眠障害」が原因であることが多いです。
夜間の多尿を引き起こす生活習慣やもともとの病気を治療する必要があります。
具体的には
- 飲水過多
→夜寝る前には水分をとりましょう!運動をいったんやめてみる
寝る前のコップ一杯の水ではなく、朝起きてすぐのコップ一杯の水にする - 心不全、腎機能障害、糖尿病
→もともとの病気の治療を優先しましょう - 睡眠時無呼吸症候群
→減量がもっとも効果があります - 不眠症
→睡眠の質が低くても夜間の頻尿の原因となります
睡眠の質を上げるための生活習慣や薬物治療が有効です
頻尿まとめ
頻尿は加齢とともに増加し、多くの高齢者が悩んでいる症状のひとつです。
オシッコの相談は人にはしにくいものです。
まずは相談できるかかりつけ医をもつことが大切です。
本当に多くの方が悩んでいることと認識してください。
(60歳以上の78%が何らかのオシッコのトラブルを持っています)
自分だけが悩んでいるわけではありませんし恥ずかしいことではありません。
ぜひ、ひとり悩まずかかりつけ医に気軽に相談してみてください。