- 2020年1月26日
- 2020年2月4日
市中肺炎をワクチンで予防する!
近年の高齢化に伴い「肺炎」で亡くなってしまう方は増えています。
「肺炎」は全死亡の原因の第3位を占める病気です。
特に「肺炎」のなかでも誤嚥性肺炎、市中肺炎が多くなっています。
では、「肺炎」を防ぐために何ができるのでしょうか。
肺炎と言えど、予防に有効なのは風邪の予防でお話した対策に尽きます。
肺炎の場合は一部の原因である肺炎球菌に対してはワクチンがあります。
今回は、全死因の3位を占める肺炎を防ぐための肺炎球菌ワクチンについてのお話です。
肺炎もやはり予防が重要
肺炎は高齢になるほどかかりやすくなります。
なぜなら加齢に伴い免疫力が低下するためです。
予防するためには自らの免疫力を下げない工夫をしていくことが重要になります。
- 十分な睡眠をとる
- たんぱく質を中心とした栄養をしっかりとる
- マスク、うがい、手洗い、こまめな水分補給
- 禁煙
- 口腔ケア
以上のような予防策が重要です。
特に「風邪を予防する」でもお話したことに加えて
特に虚弱高齢者の肺炎予防には口腔ケアが非常に重要となります。
口腔内のケアをこまめに行うことで多くの肺炎を予防することができるのです。
ワクチンで防げる肺炎もある
肺炎とひと言にいっても、さまざまなものがあります。
代表的なのは誤嚥性肺炎、市中肺炎。
その他にも間質性肺炎、ウイルス性肺炎、非定型肺炎などなど
この中で頻度が高く重要なものは「誤嚥性肺炎」と「市中肺炎」です。
誤嚥性肺炎は食べ物の飲み込みがうまくいかずに肺に食べ物が誤って流れ込むことによって生じる肺炎のことです。
市中肺炎はいつもの暮らしをしていて罹ってしまう肺炎のことを言います。
「市中肺炎」の代表菌は肺炎球菌
上記の図をみてわかることは「肺炎球菌」が原因である肺炎が多いということです。
裏を返せば、一番の肺炎の原因である肺炎球菌を予防できれば肺炎になる確率をグッと下げられるということです。
肺炎球菌には、ワクチンが存在します。
ワクチンとは自分の免疫を作るための注射のことです。
インフルエンザをワクチンで予防するように
肺炎球菌ワクチンで肺炎を予防しましょう
ということです。
まだまだ普及していない肺炎球菌ワクチン
毎年1~2月にピークを迎えるインフルエンザは、ワクチン接種する方は多いです。
ところが肺炎を予防するために肺炎球菌ワクチンを接種する方はまだまだ多くはありません。
肺炎は死因の3位を占める疾患であり、なかでも市中肺炎の主な原因である肺炎球菌に対してはワクチンが存在します。
肺炎を予防するために接種することが重要です。
積極的に接種すべき方とは?
- 65才以上の方
- 喫煙者
- 脳梗塞の既往がある
- 気管支喘息の既往がある
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)がある
- 慢性心臓疾患がある
- 糖尿病
- 関節リウマチ
- 免疫が下がっている状態の方
上記に当てはまる場合はインフルエンザワクチンと同様、肺炎球菌ワクチンも積極的に接種すべきです。
特に、喘息やCOPDなどの呼吸器(気道にまつわる)持病がある場合は、下気道症状が重症化しやすいためワクチン接種を強く推奨されます。
肺炎球菌ワクチンは2種類ある
現在2020年1月現在、肺炎球菌ワクチンは2種類あります。
1つは定期接種できるものです。
「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」 と呼ばれます。
特徴としては
・簡単に言えば、インフルエンザワクチンのように助成を受けて接種できるものです。
・5年間に一回定期接種することが勧められています。
・値段はプレベナーと比較すると安価
もう一つは「肺炎球菌結合型ワクチンプレベナー13」です。
特徴としては
・これは季節を問わず接種できます。
・一度接種すれば長期にわたって効果ある(免疫記憶される)と言われています。
・どこかで一度接種すればよい
・値段が高価
接種やワクチンについて、詳しくはかかりつけ医にご相談ください。
定期接種で受けられる方には助成が受けれます。
詳しくは厚労省のホームページを参考にされてください。
2019(平成31)年4月1日から2020年3月31日までの間は以下の方が対象となります。
1.経過措置の対象となる方
2019(平成31)年度に | 生年月日 |
---|---|
65歳となる方 | 昭和29年4月2日生 ~ 昭和30年4月1日生 |
70歳となる方 | 昭和24年4月2日生 ~ 昭和25年4月1日生 |
75歳となる方 | 昭和19年4月2日生 ~ 昭和20年4月1日生 |
80歳となる方 | 昭和14年4月2日生 ~ 昭和15年4月1日生 |
85歳となる方 | 昭和 9年4月2日生 ~ 昭和10年4月1日生 |
90歳となる方 | 昭和 4年4月2日生 ~ 昭和 5年4月1日生 |
95歳となる方 | 大正13年4月2日生 ~ 大正14年4月1日生 |
100歳以上となる方 | 大正 9年4月1日以前生 |
2.60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方