• 2020年12月13日
  • 2021年7月11日

新型コロナ インフルエンザの違い・見分け方はあるのか?

今回のテーマは「新型コロナとインフルエンザの違い」についてです。
2020年12月13日現在、新型コロナウイルス(COVID-19)感染者数は増加傾向です。
冬になるとインフルエンザウイルス感染者も増加する時期になります。
インフルエンザは例年12月頃から2月をピークに増加します。
*インフルエンザの基礎知識は、下記ご参照ください。

そこで問題になるのが、発熱の原因が新型コロナ感染なのか?インフルエンザ感染なのか?
「見分け方や違い、症状に違いがあるのか?」


実際のところは似ている症状が多く、症状だけで見分けるのは困難で各種検査で確定診断するべきです。
新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いを理解することはヒントになります。

誰もが感染者である可能性があると言われている新型コロナウイルス。
新型コロナ・インフルエンザの違いなどについて、2020年12月現在で判明していることについてお伝えしていきます。
(今後、見解が変わっていく可能性もあること、海外文献の内容も含まれているため日本人にすべて当てはまるか不確定であることをご了承ください。)
https://kujira-zaitaku.clinic/

味覚・嗅覚異常は新型コロナウイルス感染症に特異的!
でも「症状がないから安心」ではありません!

新型コロナ:特徴的な症状に注目


新型コロナウイルスもインフルエンザも、もっとも知りたいところとして症状に違いはあるのか?
というところです。
新型コロナ感染の初期症状は、発熱、咳、倦怠感など風邪の症状と似ています。
そのため風邪、インフルエンザ、新型コロナを症状だけで見分けるのは困難です。
ただ、注目すべき症状として「味覚と嗅覚の異常」がヒントになりそうです。
海外の論文データではありますが

味覚異常(メタ解析):41-53%
嗅覚異常(メタ解析):38-44%
(   Otolaryngol Head Neck Surg. 2020;163(1):3-11.  Otolaryngol Head Neck Surg. 2020 Jun 9;194599820934761 )

嗅覚または味覚異常の診断精度
感度:23-41%
特異度:95-98%
(  Mayo Clin Proc. 2020;95(8):1621-1631.   Eur Arch Otorhinolaryngol. 2020;277(8):2389-2390.  Lancet Infect Dis. 2020;20(9):1014-1015.  )

以上のことをまとめますと

「味覚・嗅覚異常の症状の特異度が高い」
言い換えれば
「味覚・嗅覚異常は、新型コロナ感染に特徴的(特異的)な症状である」


もっとざっくり言ってしまうと
味覚・嗅覚異常の症状がある → 新型コロナウイルス感染の可能性が高い
ということです。


気をつけておいてほしいことは、感度は決して高くないということです。

ざっくり言ってしまうと
味覚・嗅覚異常の症状がない → 新型コロナウイルス感染の可能性が低い、、
とは言えません!!

なので、味覚・嗅覚異常がないから安心していいんでしょ、ということではない!
ここもよくご理解ください。


味覚・嗅覚異常についての現時点での論文をまとめてみますと

・コロナ感染患者の40-50%でみられる
・通常は、発熱や気道症状と同時または後に出現する
・軽症例、女性、若年者で多くみられる
・急性気道感染症患者での新型コロナ診断における特異度は高い
→→ 嗅覚障害と味覚障害の有無は診断のヒントになりうる




新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い
(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)

新型コロナとインフルエンザの違い


まだまだ論文、エビデンスの蓄積が少ないのが現状です。
明確なことを言い切るには情報不足なのですが
現時点ではわかっていることとして(新型コロナとインフルエンザの違い)

潜伏期間が違う
・新型コロナ(5-6日)
・インフルエンザ(3日)

感染の拡がり
・新型コロナウイルスは、主に成人→小児への感染
・インフルエンザウイルスは、小児から拡がりやすい

重症化
・新型コロナは、重症化率が高い(症状が出現した場合)
(・インフルエンザは、推定値であるため比較は困難)
→新型コロナ感染は全報告に対して、インフルエンザの死亡数は推定値


2020年のオーストラリアではインフルエンザが少なかった!
コロナ対策がインフルエンザの予防に有効と考えられる。

2020年はインフルエンザが極端に少ないのがわかります。
つまり、コロナ対策していればインフルエンザは怖くない?!

グラフは、オーストラリアのインフルエンザ罹患者数の統計です。
赤色が2020年。
2020年夏はオーストラリアでも渡航禁止やロックダウンなどの措置が行われ、手洗いやソーシャルディスタンスの確保などの対応がとられていました。

これらから言えることとして、新型コロナウイルス感染防止策として、手洗いの徹底やソーシャルディスタンスの確保などの対策が取られた結果、飛沫感染であるインフルエンザの流行を抑制できると言えそうです。

新型コロナ、インフルエンザ、風邪
いずれも感染予防が大切なのは変わりありません。

まとめ

新型コロナウイルス感染症に関しては、まだまだ決定的な情報やエビデンスの蓄積がなく、人種間でもデータにばらつきがあります。
症状は似ていることも多く、新型コロナかインフルエンザなのか?
症状だけで見分けることは困難です。

味覚・嗅覚異常はひとつのヒントになること、新型コロナウイルス感染症の予防策はインフルエンザの予防にもなることが言えます。

感染予防(手洗い、マスク着用、ソーシャルディスタンス)の徹底が重要なのは言うまでありません。
また、心と身体の健康を保つことも重要です。
バランスの取れた食事や適度な運動をおこなうこと、規則正しい生活リズムが必要です。
感染対策しながら新型コロナにもインフルエンザにも負けない免疫力をつけていきましょう。

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