- 2020年6月7日
「口腔カンジダ」ってなに?高齢者の口の中を観察しましょう
口の中のトラブルって、けっこうツライですよね。
例えば口内炎は誰にでも経験があると思います。
高齢者に限らず、口のなかのトラブルは生活の質を低下させてしまいます。
若い方であれば口唇ヘルペスなどがピリピリして痛いのですが、高齢者では口腔カンジダも痛みを伴うことがあります。
どちらも正しく治療すれば楽になります。
今回のテーマは「口腔カンジダ」です。
口の中のトラブル、もしかしたら口腔カンジダかも?と発見するきっかけの一助になるはずです。
「口腔カンジダ」ってどんなもの?
口腔カンジダの特徴をざっくりまとめると
- 高齢者に多くみられる
- 口の中に白っぽい苔(白苔)が付着していて
- 食事の際に「ヒリヒリ」とした痛みを伴うことがあって
- 味覚がわからなかったり、苦みを感じることもある
カンジダっていうと真菌(カビなんです!)なので
誰かからうつされる感染症!というイメージがあるかもしれません。
実際は「カンジダは常在菌」といって子どもから大人まで身体にだれでも持ってる菌です。
カンジダさんは誰の身体にも皮膚に住んでいて普段は暴れないでおとなしくしてくれています。
免疫が低下するとカンジダさんが暴れだします。
どんな人がかかりやすいの?
かかったらどんな症状が出るの?
例えば、高齢者(加齢)やステロイド治療中(免疫を下げる作用がある)
特に喘息で吸入ステロイド薬を吸っている方、HIV感染症(エイズ)など
免疫が下がると、常在菌でおとなしくしていたカンジダが暴れだします。
- 高齢者
- 抗生剤を長期的に使用している方
- ステロイド剤の長期間投与(特に喘息治療の吸入ステロイド)
- 口腔乾燥(食べないなど唾液を出す機会が少ない方)
- 義歯の不備
など
カンジダが口の中で暴れると、「口腔カンジダ」になってしまいます。
症状としては、口の中の痛み、味覚障害、違和感が生じます。
特に、食事や会話など舌を動かして刺激が加わる場合に痛みが増強し、特に熱いものや、味の濃い刺激物は痛くて摂れなくなります。
食べたいものが満足に食べられなかったりなってしまうのです。
生活の質が下がってしまうので絶対に防ぎたい病気のひとつです。
口腔カンジダの予防と治療
口腔カンジダを防ぐために重要なことは
なんといっても免疫を低下させないこと。
そして口の中の衛生状態を良くしておくことです。
また早期発見することも重要で、早くみつけて軽症なうちに治療することも大切です。
治療は暴れてしまったカンジダさんをやっつける抗真菌薬の投与です。
塗り薬やうがい薬などのタイプがあります。
それと同時に、抗生剤投与を中止する、ステロイド投与後は口腔ケアを頻回に行うなどの再発予防に努めることも大切です。
補足:萎縮性口腔カンジダというのもあります。
いままでみてきたのは口腔カンジダの白苔が付着するタイプのものでした。
これらは正しくは「偽膜性口腔カンジダ」と呼ばれるもので白い苔(白苔)が付着するタイプです。
もうひとつ、「萎縮性カンジダ」というタイプもあります。
こちらの方は白い苔が付着せず、どちらかというと舌も赤っぽくなって切れ目が入ったような見た目になります。
なかなか見分けがつかないので疑った場合は、一度主治医に相談してみてください。
萎縮性カンジダの方がより食事の際の痛みが強く出ることがあります。
まとめ 口の中を観察しましょう
「口腔カンジダ」について学んできました。
口の中を観察することが予防や早期発見に大切です。
高齢者に多くみられる、口の中が痛かったり味覚障害が出るなどの症状があって、口の中を観察すると白い苔が付着している疾患です。
萎縮性カンジダというタイプの場合は、白い苔は付着しておらずより赤い舌で痛みが強いという特徴があります。
口の中を観察すると、誰にでも白い苔が付着しているんですけど、と感じられるかもしれません。
口の中が不衛生だと黄色っぽい苔が付着していたり、食べかすだらけだったり、、
簡単には見分けつかないこともあります。
また「口腔カンジダ」であっても症状が出ないことも多いです。
特に困ってなければ治療も必要ないという考えもありますが、肺炎のリスクが高くなることも考えられます。
診断、予防、治療については主治医にご相談してみてください。