パルスオキシメーターの正しい解釈 注意点

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により、パルスオキシメーターが売れています。
パルスオキシメーターは血中酸素飽和度を簡便に計測することができます。
「ようするに、体の中の酸素の濃度を計測できる器械でしょ」
と解釈されていることが多いです。(正確には誤っています)

今回のテーマは「パルスオキシメーターの解釈について」
ちょっとだけ深堀してみます。
「数字が低いから酸素が不足しているのでしょうか?」
ほんのすこし深く理解することで、正しく解釈するヒントになります。

新型コロナで広まったパルスオキシメーター

新型コロナウイルス感染症の広まりとともに、一般家庭でも購入する方々が急増したパルスオキシメーター。

・体の酸素が不足すると数字が低くなる器械。
・数字が低いと状態が悪化している。

とおおざっぱに理解されていることが多いようです。

パルスオキシメーターは簡便で便利です。
ポイントは「正しく測定できているか」
計測の原理を知ることで、正しく測定できているかのヒントになります。

ポイントは「正しく測定できているか」


パルスオキシメーターはとても優れた医療機器です。
誇らしくも、日本人が発明したものなんだよ、と医学生のころに教わりました。
生命危機があるかどうかを知るための重要なバイタルサイン(体温、血圧、心拍数、呼吸数、酸素飽和度)の項目のひとつです。

「指にはめ込むだけで、簡単に酸素が計測できる器械」
体温測定のように、とても簡便な検査で誰でも簡単に操作できるメリットがあります。

簡便な検査ではあるので便利です。
ポイントは「正しく測定できているか」です。

正しく測定できていないパターンとしては

  • 手足が冷えているときに計測
  • 測定中に指先を動かしてしまう
  • 測定中にお話ししたり息止めしてしまう
  • マニキュアした爪で計測
  • 過度に瘦せているため、指にはさんだだけで血流が止まってしまう

などが挙げられます。

「指先の血流」「血液の赤さ」をみている


上記のようなパターンがなぜ測定が不正確なのか。
それはパルスオキシメーターは「指先の血流」をみることで数値を表示しているからです。

つまり指先の血流がきちんと計測できない状況では数値が不正確になります

指先の血流をみているのですが、正確には指先の血流の「血液の色」をみています。

「指先の血液の色がどれだけ赤いのか?」

を計測している。
これだけ理解しておくだけでもかなり役に立ちます。

パルスオキシメーターは「指先の血液の色」を調べています!
マニキュアしている指では正しく測定できません。
マニキュアの色を拾ってしまうからです。


指先が冷えている状態では
正しく測定できていない可能性が高いです。
末梢の血流が不足しているので
血液の色を正しく測定できないからです。


パルスオキシメーターの原理をかんたんに理解する


少し踏み込んだ話をしますと
酸素を多く含んだ血液は真っ赤(明るい赤色)です。
よくイメージする真っ赤な血液は動脈です。
たっぷり酸素を含んでいます。
そのため鮮やかな真っ赤な色をしています。

一方で、静脈はどす黒い色(黒っぽい色)をしています。
静脈は身体に酸素を渡し終わった血液です。
なので血液に酸素が含まれていません。
そのため黒っぽい色をしています。


・酸素が多い血液は、真っ赤(明るい赤色)
・酸素が少ない血液は、黒っぽい(暗い赤色)


身体の酸素が多いかどうかを調べたい。
ならば、血液の色をみて「色がどれだけ明るいか」をみれば酸素が多いかがわかる。
どれだけ色が真っ赤なのか、黒っぽいのかを調べよう。

という経緯で発明されたのがパルスオキシメーターなのです。

血液に酸素がたっぷりあれば真っ赤(明るい赤色)
「どれだけ真っ赤(明るいか)」
をみて酸素がたくさんあるかを調べています。

指先の血流(血液の色)がきちんと計測できていますか?


指先の血流(血液の色)を調べているのがパルスオキシメーター。

不正確な計測方法として

  • 「マニキュアを塗った指」はマニキュアの色の明るさを計測してしまいます。
  • 「指先が冷えている状態」は血流が悪いため正確に計測できていない可能性があります。
  • 「指を動かしている状態」では指先の血流をきちんと拾うことができない。
  • 「過度に瘦せている状態で、指をはさむと血流が途絶える」血流が流れていないので計測できない。

以上のように

「指先の血流、もっと言えば指先の血液の色を計測している器械」

パルスオキシメーターの原理です。
ということを知っていれば、それが正しく測定できているかどうかの判断ができます。

パルスオキシメーターの数値が極端に低い!
慌ててしまう前に、正しく測定できているかチェックです。
測定の原理に立ち返って、指先を温めたりしてから再度測定してみましょう。




いままでお話ししてきたパルスオキシメーターは
「酸素飽和度」を調べています。
正確には、酸素飽和度とは酸素がどれだけあるか、ではなく
ヘモグロビンと酸素がどれだけ結合しているかを表したものです。

酸素がどれだけあるか?は「酸素分圧」を調べる必要があります。
ちょっと難しい話なので興味のある方だけ参考にしていただければと思います。


もっと深掘りしたい方にだけ(マニアックなお話し)

パルスオキシメーターが指先の血液の色をみて酸素飽和度を調べていることがおわかりいただけたと思います。

「血中酸素飽和度」を計測しています。
酸素飽和度とは、ヘモグロビンと酸素がどれだけ結合しているかを表したものです。

つまりSpO2:98%というのは、全体のヘモグロビンのうち、ヘモグロビンと酸素が結合したものが98%あるという意味です。
これは、正確には「身体のなかの酸素がどれだけあるか?」
を表したものではありません。
ヘモグロビンと酸素がどれだけ仲良く結合しているか、を表したものです。


ここで避けて通れない話として「酸素分圧」という話があります。
よく言う「身体の中の酸素がどれだけあるか」
は正確には酸素飽和度ではなく、酸素分圧をみるべき
なのです。
・酸素分圧が高い=身体のなかの酸素がたっぷりあるよ
・酸素分圧が低い=身体のなかの酸素が少ないよ
ということです。

すこし難しい話になりますが
動脈血酸素分圧(PaO2)と動脈血酸素飽和度(SaO2)についてのお話です。
空気中からの酸素を肺に取り込んだあと、動脈に酸素が取り込まれます。
動脈に酸素がどれだけ含まれているかは、血中酸素分圧(PaO2)で表されます。
血中酸素分圧が重要なのですが、これを正確に計測するには血液検査、しかも動脈血の採血が必要になります。

身体のなかにどれだけ酸素があるのか?を調べるには
動脈血のなかの酸素分圧を調べる必要がある。


ということになります。
しかし、身体のなかの酸素を調べるために毎回毎回、動脈血採血をすることは現実的ではありません。

「酸素を調べるので採血しますね」と毎回採血されるのは苦痛ですよね。

そのため、「酸素分圧を酸素飽和度で代用しましょう」

というのが現実的な選択となります。
このもとになっている考え方として
酸素飽和度と酸素分圧には相関関係があります。

酸素分圧を毎回調べるのは大変だから
酸素飽和度で代用しましょう。

そうなのです。
酸素飽和度を調べることは間接的に身体のなかの酸素を調べていることになるのです。
(酸素飽和度と酸素分圧の関係についてはマニアック過ぎるので興味がある方は調べてみてください)

酸素飽和度を調べているパルスオキシメーター。
簡便な検査でとても便利です。

パルスオキシメーターを使用する際の注意点。
酸素を調べる間接的な検査であるという側面を知っておいていただきたいと思います。