「転倒予防」について考えてみました

訪問診療では「転ばないように気をつけてね」とよくお伝えしています。
これで転倒が減ればいいのですが、現実はそんなに甘くないですよね。
転倒をきっかけに要介護・寝たきりになってしまう方が非常に多いです。
高齢化社会の時代に、転倒をしないために何ができるのか。

私が考える「転倒を予防する」ためにできることは
専門家チーム(ケアマネジャー、看護師、リハビリ、ヘルパー、福祉用具、かかりつけ医)が転倒を予防するために何ができるのか知恵を出し合うことが重要と考えています。

個人個人で持っている病気、飲んでいる薬、生活環境も異なります。
100人いたら100通りの転倒予防の対策があると思います。

生活を大きく変えてしまう「転倒」について考えてみました。

「~に気をつけて!」
は逆効果になることも!?

「転ばないように気をつけて」は逆効果!?

どうやら人間の脳は「~~に注意してね」と言われてしまうと
心理状態でやってはいけないことの想像(イメージ)が膨らんでしまって逆効果になるということがあるようです。

例えば、
・「お皿を割らないように、洗ってね」
・「コップの水をこぼさないように、運んでね」

のような伝え方をすると、お皿を割るイメージが膨らんでしまって
頭の中でお皿を割った絵を想像してしまうことによってイメージに引っ張られて逆効果ということがあるようです。

同様に「転ばないように気をつけて歩いてね」と伝えると

転んだ自分をイメージしてしまい頭の中で転んでる自分が想像されてしまう。
結果、転びやすくなる、という逆効果になるらしい
のです。

うーん、難しいですね、、。
転んでほしくないから転ばないでね!と伝えているのに逆効果に働くこともあるようです。

握力が弱い人は転倒のリスクが高い

「握力」と「転倒」の関係

握力が弱いと転倒のリスクが高いという研究結果がたくさんあります。

つまり、握力が弱い人は転倒の危険性が高いということです。

握力は全身の筋力をよく反映しています。
そのため握力が弱い人は筋力が全体的に低下しており、そのため転倒しやすいと考えれています。
握力が弱い人が転倒のハイリスクということは知っておくと対策の一助になります

診療の際には患者さんと握手することで、同時に握力をチェックするようにしています。

握力が弱い場合、筋力低下が転倒のリスクになることがわかります。
対策としては、たんぱく質摂取(筋肉の材料)とリハビリが有効であることがわかります。

転倒のリスクが高い要因を考えてみましょう

転倒のリスクファクターを分解して考える

握力が弱い=筋力低下=転倒のリスクが高い
筋力低下は転倒の重要なリスクファクターです。
もちろん筋力低下だけがリスクで転倒が起こるわけではありません。

転倒はさまざまな要因が重なって生じた結果です。

原因を分解してみるといくつかの要素が挙げられます。

  • 身体的疾患(脳卒中後遺症、認知症、パーキンソン病など)
  • 精神的要因(不安神経症、うつ病など)
  • 薬剤(睡眠薬、抗精神病薬など)
  • 過去の転倒歴
  • 環境的要因(自宅での生活・福祉用具)

「転倒を予防する」
そのために、これらを丁寧にひとつひとつ分解して予防策を考えていくことが重要です。

転倒予防になにができるのか?
チームみんなで知恵を出し合うことが大切

具体的な「転倒予防策」

身体的疾患、精神的要因、薬剤についてはかかりつけ医(主治医)によく相談することが大切です。

転倒のリスクが高い疾患はあるのか?
転倒のリスクとなる薬を飲んでいるのか?

これらを見直していくことが転倒予防の対策になります。

それに加えて家庭でできることとして
「生活環境の見直し」です。
これが一番重要だと個人的に考えています。

例えば

  • 必要なものは、いつも手の届くところに置いておく
    無理な姿勢は転倒のリスク
  • 夜間はポータブルトイレを使用する
    夜間のトイレ歩行での転倒が多い!
    「眠気・ふらつき・暗闇」など転倒リスクがいっぱい
  • 周囲につかまることができる家具を置く
    手すりや家具があるとふらつき転倒を予防できる
  • 在宅での生活に合わせたリハビリ・運動
    筋力低下は転倒の大きなリスク
  • 転倒を引き起こしやすい薬剤の見直し
    かかりつけ医に相談する

転びやすい環境になっていないか?
生活環境を見直してみる

まとめ

「転倒を予防する」ことは待ったなしの課題でもあり永遠の課題とも言えます。

転倒から要介護状態・寝たきりになることを予防する

そのために何ができるのか?

個人個人によって筋力、持病、薬剤、生活環境などなど異なります。

チームで知恵を出し合って「転倒を予防する」ために何ができるのか?
周囲の協力や専門家のアドバイスを上手に生活に取り入れていくことが大切
だと思います。