- 2020年7月28日
「脳梗塞の治療」について知る①
医療の進歩により、最近は脳血管内治療が主流となってきました。
以前に比べて適応が増えてきていることから、より多くの方の予後を救っています。
脳外科の花形治療となっている血管内治療。
ただ、すべての脳梗塞が血管内治療の適応となるわけはありません。
今回は「脳梗塞の治療」について。
例え話を用いてお話していきます。
血管内治療、それ以外の治療法、その後のフォローについてがテーマです。
脳梗塞 たとえ話でわかりやすく
まずは「脳梗塞」について理解しましょう。
脳梗塞は「脳の血管が詰まる病気」です。
脳の血管が詰まることによって、詰まった先に血液が届かなくなります。
それによってさまざまな症状が出ます。
手足の麻痺や呂律障害、つじつまが合わない会話など
脳梗塞の状態を例えてみますと
道路をイメージしてください。道路が血管です。
道路(血管)を使って住民(脳)に郵便物などの物資(血液)を運んでいる状態が正常です。
道路の途中が土砂(血栓)で封鎖された状態。これが脳梗塞のはじまりです。
道路の先に住んでいる住民に物資(血液)を運べません。
物資を運んでもらえなくなった住民(脳の一部)は困ってしまいます。
住民に物資が運ばれない状態が続くとそこに住んでいる住民は死んでしまいます。
脳は血液が届かなくなると数時間で機能障害(脳の障害)が起こります。
つまり、脳(住民)は数時間でも物資(血液)が届かなくなると立ち行かなくなるのです。
タイムリミットはありません。
それは大変だ!
急いで物資を運ばないと、道路の先にいる住民(脳の一部)が死んでしまう。
できることはなんでしょうか?
そうです。土砂(血栓)を取り除くこと。
そして道路の先に住んでいる住民に必要物資を運ぶことです。
これが脳梗塞の治療になります。
脳梗塞の治療は「詰まった血管の先の脳を救うこと」
道路が土砂で封鎖されてしまった。
道路の先にいる住民は困った。
助けなくては住民に物資が運べず死んでしまう。
そんなときはどうすればいいでしょうか?
「急いで土砂を取り除く工事をしましょう。」
こう考えますよね。
その目的はなんでしょうか?
なにより封鎖されてしまった道路の先にいる住民を救うこと
これが脳梗塞の治療の究極の目的です。
土砂を取り除いて、再び道路を使えるようにすることも重要ですが、
なにより住民を救うことが治療の目的であることを忘れてはいけません。
土砂を取り除く治療「血管内治療」とは
土砂(血栓)を取り除くための方法がいくつかあります。
代表的なものが「血管内治療」です。
イメージとしては、土砂をブルドーザーで取り除くことです。
これができればいいのですが、条件があります。
道路がある程度大きくないとブルドーザーが入っていけないのです。
すべての脳梗塞で血管内治療が適応になるとは限らないのです。
できるかどうかは脳外科専門の医師が判断します。
土砂を少しずつ処理していく「内科的治療」
土砂(血栓)を取り除くブルドーザーが入っていけないことがあります。
そのときは何をして、道路の先の住民を助ければいいのでしょうか?
やはり土砂を少しでも除去して、道路を使えるようにしていきましょう。
これが入院治療で行う点滴の治療です。
抗血小板薬、抗凝固薬など耳にしたことがあると思います。
「血液をサラサラにする薬」
そうです、土砂(血栓)で詰まった道路(血管)をサラサラで通行しやすくしてくれる治療です。
これによって道路先の住民(脳の一部)に物資(血液)を運びやすくするのです。
脳梗塞の治療 まとめ①
脳梗塞の治療は急性期治療といって、すぐに治療を行う必要があります。
脳は血液が届かなくなると数時間で機能障害(脳が障害されること)が起こります。
そのため急いで血栓を溶かす必要があります。
方法としては直接血栓を回収する方法や徐々に溶かしていく方法など。
今回はたとえ話を多くお伝えしてみました。
次回はこれらの治療に加えて、脳梗塞が生じた後の治療について
再発予防やリハビリについてお話していきます。