「新型コロナウイルス感染症の治療」について考える

2021年になり、COVID-19感染(以下、新型コロナ感染)が認知されて一年が経ちます。
この一年間でわかってきたことはさまざまあります。
PCR陽性者数が増加してるニュース(感染者とは厳密には異なります)が報道されています。
毎日のニュースや報道に、不安を抱えて過ごされている方も多いと思います。
不安を煽ってくるニュースや報道に惑わされないよう知識をつけておくことも大切です。



今回のテーマは「新型コロナウイルス感染症の治療」についてです。
新型コロナ感染症にかかったら治療はどうしたらいいの?
多くの感染症(例えばインフルエンザや風邪など)でも同様に、新型コロナウイルス感染症にかかった場合は、回復するための治療を行います。
現時点で、治療薬はどこまで効果があるのか。
実際、重症例ではどのような治療が行われているのか。
(2021年1月現在でわかっていることで、今後見解が変わる可能性があることをご了承ください)

現時点で、レムデシビルが効果がある
と言い切れるだけの証拠がそろっていない。

「レムデシビルが効く」の意味は?


ニュースや報道番組で、新型コロナ感染を経験した方が、コメントで

「病院でアビガンを投与されてから症状が楽になった」

「レムデシビルで治ったという人がいる」

など、治療薬で症状が回復したという言葉を耳にします。

しかし、これを投与すれば回復するという特効薬は現時点ではありません。

理由は、RCTを行って証明がされていないためです。

例えば、患者Aがレムデシビル投与で治った(回復した)としましょう。
それだけでは、「レムデシビルが投与されたから治った」とは説明できないのです。
患者Aはレムデシビルを投与されたから治ったかもしれないし、投与していなくても治ったかもしれないのです。
風邪やインフルエンザも薬を投与しなくても自然治癒します。

「レムデシビルを投与したから治った」ことを証明するには、より多くの患者さんで検証しなくてはなりません。

しかも患者数を多くするだけでは証明になりません。
レムデシビルを投与した患者さん群と、偽薬(プラセボ)を投与した患者さん群に振り分けて
それぞれ多くの患者数を集めてやって始めて検証できるかどうか、なのです。
さらに環境や年齢、基礎疾患などの条件も揃えて比較しなければなりません。


「レムデシビルを投与したから回復した」を証明するのは、相当難しいことだ
ということがおわかりいただけたと思います。

入院適応、重症例ではレムデシビル+ステロイド治療
が主流となりつつある。

重症例の患者さんでは
現状の治療の主流は「レムデシビル投与+ステロイド治療」


ウイルスは人の細胞に侵入して増殖します。
抗ウイルス薬というのは、「ウイルスの増殖を抑制する」という作用を示します。
ウイルスが自分のデータを複製して増殖しようとする。
その複製する作業を壊す作用があり、それによってウイルスの増殖を抑え込みます。


インフルエンザウイルスの治療薬も、ウイルスそのものをやっつける薬ではなく、ウイルスの増殖を抑制する作用です。
もともとファビピラビル(アビガン®)もインフルエンザウイルスに、レムデシビルもエボラウイルスを狙って開発された薬です。

ステロイド治療薬はどういった作用機序なのか。

これも簡単に言いますと、「ステロイドには自分の行き過ぎた免疫にブレーキをかける作用」をもっています。

新型コロナウイルス感染症の重症例では、ウイルスそのものが細胞を破壊するという攻撃のほかに
自分の免疫がウイルスと戦おうと激しく反応してしまう

これによって自分の呼吸器系や臓器を傷つけてしまうということがわかっています。

自分の免疫が自分を攻撃してしまわないように、自分の免疫にブレーキをかける必要があるのです。
自分の免疫が過剰になってしまうときは、重症のときです。
つまり、呼吸不全を呈しているような重症例で使用される薬です。

まとめますと
新型コロナウイルス感染症の治療は

①ウイルスの増殖を抑制する作用を持っているレムデシビル

②自分の行き過ぎた免疫にブレーキをかけるステロイド

が治療の主流になります。
ただし、重要なことはレムデシビルが効果があるとはまだ断定できないということです。
(実際、WHOは治療として推奨していない)

追加として知っておいていただきたいことをまとめています。
(2021年1月時点でわかっていること)

  • 現時点(2021年1月時点)では
  • 新型コロナウイルス感染症の治療「候補」のひとつである。
  • 「効果がある」と断定できるまでの証拠が揃っていない。
  • WHOでは推奨されていない。
  • デキサメタゾンをはじめとするステロイドとの併用効果は検討されていない。
  • 酸素投与が必要な重症COVID-19患者の酸素化の改善・入院期間の短縮が期待できるといわれている。
  • 抗ウイルス作用を期待して使用する薬剤であることから、早期投与が望ましい といわれている。
  • 医療体制が整っており、適切な集中治療が可能な医療環境で、効果が期待できるといわれている。

栄養をとってよく休むことが基本。
重症化や悪化がないか見極めることが最重要。

軽症や無症状の場合は、対症療法。
よく休むこと。

重症化、悪化がないかをチェックする!


新型コロナウイルス感染症は、無症状や軽症の患者さんが多いのが特徴です。
(そのため隔離や封じ込めが難しいといわれています。)


無症状や軽症の患者さんでは治療はどうするのでしょうか。
発熱や咳などの症状に応じて対症療法を行います。
具体的には、解熱剤や鎮咳薬、脱水になれば点滴などを行います。

特にこれといった特効薬はありません。

インフルエンザウイルスや風邪の治療と同様に、栄養をとってよく寝ることが重要です。


重要なことは、「重症化していないか?」を見極めることです。
例えば、呼吸の息苦しさの増悪がないか?症状が悪化していないか?
を見極めて、重症化の兆候がみられた場合はすぐに相談窓口で医療機関受診の必要性を問い合わせることが大切です。

やみくもに不安を煽ってくるニュースや報道に注意
常に自分ができることに集中するように心がけたいものです。

まとめ 新型コロナウイルス感染症の治療


レムデシビルやファビピラビル(アビガン®) 、デキサメサゾン(ステロイド治療薬)についてわかっていることをお話してきました。
現時点で、新型コロナウイルス感染症の治療の戦い方はある程度わかってきています。
さらにこれからの研究、検証に期待しています。

そして、忘れてはならないことは、断定的な情報に左右されないことです。
ニュースやSNSでは??といった情報も見受けられます。

いろいろな情報が多くて振り回されてしまいそうになります。

感染予防対策、3密を防ぐこと、栄養摂取、睡眠の確保など
を徹底して自分にできることをやっていく。
たくさんの情報に振り回されないそうになります。
そんなときは、あらためて自分のできることに集中していきたいものです。