• 2019年10月7日

床ずれ(褥瘡)のケア

床ずれの付き合い方

床ずれ(以下褥瘡)は予防が大切です。
そうは言ってもなかなか難しいこともあります。
早いと数日で赤くなってあっという間に潰瘍に至るなんてことも、、
どうやってケアしていくのがいいのか?
今回はできてしまった褥瘡をどうケアするかについてのお話です。

まずは褥瘡ができた経緯を見直す

褥瘡のケアのお話をするときに欠かせないのは、褥瘡ができてしまった経緯を把握することです。
まずは褥瘡になった原因を把握しましょう。

例えば
骨折して一方向でしか向いて眠れなくなってしまった
体重減少(るい痩)により骨突出が出現してしまった
ヘルパーさんが介入できなくなり体位変換をすることが困難になってしまった

などなど。
自宅での生活環境と介護状況を把握します。
原因がわかれば、アプローチできることがみえてきます
まずは情報収集を行うことが重要です。

自分で動けるかがポイント
動けなければエアマットレスの使用を

自分でどの程度動くことができるのか
は重要なポイントです。
褥瘡が紅斑(赤くなっているけど皮膚は剥けていない状態)であれば除圧で治ります。

自分で動くことが困難な場合は、ADLをアップすることがとても重要です。
自分で体位変換ができるようになることを目標にリハビリを行っていただきます。

現実的には動けるようになるというのは難しいことも多いです。
自力での体位変換が難しい場合はエアマットレスを使用しつつリハビリを行い、動けるようになったらほかのマットレスに変更していきます。

常に栄養を意識する
特にたんぱく質をとりましょう!

以前のブログの記事にもありますが、褥瘡のケアでもたんぱく質は重要な働きをします。
褥瘡の皮膚を良くしてくれる材料もまたたんぱく質(アミノ酸)から作られるからです。
せっかく褥瘡のケアをしても、材料がなければ新しい皮膚は作れません。
さらに、褥瘡ができてしまった方は、るい痩、筋力低下を認めていることが多いです。
そのため栄養を摂取すること、それ自体がとても大事な治療になります。
たんぱく質を積極的に摂ることが褥瘡の治療には必須です。

なかなか食事摂取が進まないときは
栄養剤をうまく活用してみる

そもそも食事をたくさん食べられるほど元気な方はめったに褥瘡にならない。
というのが本音です。
食事を積極的にとれれば問題にならないことが多いのですが、なかなかそうはいきません。

そんなときは栄養剤をとりいれてみるといいです。

代表的な栄養剤はエンシュア®、ラコール®、エネーボ®などがあります。
皮膚の材料となるたんぱく質を多く含んでいます。
不足しがちな微量元素が含まれているのもポイントです。

こういった栄養剤は味や好みが分かれるので色々なフレーバーを試して自分好みの味をみつけると飲んでいただけます。
紅茶で割ってミルクティーみたいにするなどの工夫も長く続けるのに大切です。

褥瘡の処置の方法
感染がないかを必ずチェックする

褥瘡の処置では褥瘡の状態が浸出液を多く含んでいるのか?乾燥している状態なのか?
皮膚欠損はどのレベルの深さなのか?
などで処置の方法が異なります。
さらに重要なことは、褥瘡が良くなった(悪くなった)ことで処置の方法が異なることです。
刻々と皮膚の状態は変わっていきます。
こまめに観察して、今はどういう状態だからこういった処置がベストだとケアの方法を変えていくことが必要です。
褥瘡の処置は看護師さんがもっとも得意とする分野でもあります。
プロフェッショナルな看護師さんに協力してもらい褥瘡管理していただくことも多いです。

観察項目でも局所の感染、ひどい場合はデブリドマンと言って組織を切除することもあります。
ここまで重症な場合は全身状態が悪いことも多く、褥瘡の管理と並行して全身状態の改善を行います。

褥瘡をこれ以上悪化させないをゴールにすることも

重症な場合は、褥瘡を完治させるという目標ではなく、「褥瘡をこれ以上ひどくさせない」を目標にすることもあります。
褥瘡の管理は周りの方の協力も必要です。
体位変換や栄養に躍起になって支える家族や周りの方が疲弊してしまっては自宅での療養も続きません。
ときにはいい意味で、手を抜いて、褥瘡が少なくとも今より悪化しないような管理をお願いすることもあります。

まとめ

いかがでしょうか。

褥瘡の管理といっても、褥瘡になってしまった原因、現在の褥瘡の状態、生活環境やADLによってケアの仕方はさまざまです。

基本的な治療である、除圧、栄養、皮膚処置を行いながら
褥瘡の状態を観察して、ADL、皮膚の状態、生活環境に合わせて全体をみながらケアしていくことが重要です。


医療法人社団 くじら在宅クリニック 03-6915-2011 ホームページ